ボランティアチーム援人は、毎回のお手伝い便の最初に(特に初めての参加者や災害ボランティアに慣れていない人がいる場合は)「お手伝いの留意事項」を説明しています。
これは、援人が多数のお手伝いを重ねるなかでまとまってきたベストプラクティス(最善の方法まとめ)のようなもので、速成チームが有機的に連携して働くため重要だと考えていることでもあります。
以下、紹介します。

- 【作業前】全員で現場を隅まで確認してニーズを把握し、安全・効率的な作業方法を検討し、リスクを共有し、担当を仮決めしてから作業を開始しよう。
〔解説〕
ダメな例として、「自分はわかっているからとすぐ作業をはじめてしまう」「みんなで進め方について検討する前に、声の大きいだれかが我流で進めてしまう」が挙げられます。
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- 【作業中】「協働」「分業」で安全に効率よく作業を進めよう。
〔解説〕
ダメな例として、「重い物を運ぶとき、1人でがんばってしまう(事故や怪我の元)」「手伝ってほしいのに、遠慮して他のメンバーに声をかけることをためらってしまう」などが挙げられます。
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- 【作業中】やり方の提案、ヒヤリハットやリスクの発見、苦情発生、自分やメンバーの怪我・体調不良は、すぐにリーダーに報告しよう。
〔解説〕
ヒヤリハット(重大な事故や怪我につながりかねない出来事や場所)を他のメンバーに共有することが大切なのはいうまでもないでしょう。
そして「やり方の提案」は、援人では特に重視していることです。作業前にみんなで現場を見て、作業の進め方や担当を決めてスタートしますが、それはあくまで「仮決め」です。実際にやってみると「もっとこうした方が」「ここの人を増やした方が」ということはよくあります。変えることを恐れない、どんどん改善していくことで、作業をより効率的・安全にすることができます。(意見を言いやすくするため、「長く参加しているメンバーほど偉い」という雰囲気をつくらないことも重視しています。)
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- 【作業中】手待ち時間が発生したら、「乱れ」や「不足」を探して対処しよう。
〔解説〕
たとえば、道具が散乱して足元が危なくなっていないか。道具が不足していないか。みんなが歩く動線は泥だらけで滑りやすくなってないか。段差があってつまづきやすくないか。──など、全体を見わたし、改善することが大切です。
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- 【作業中】依頼主がお話をしたそうな雰囲気を感じたら、まず手をとめて聞き役になろう。(最終的にだれが対応するかは、全体の進捗も見ながらリーダーが判断。)
〔解説〕
災害ボランティアは、あらかじめ依頼された「ニーズ」に対応するものです。しかし、被災された方は、長く続く片付けで疲れ、先への不安も抱えています。そんなとき、外から来たぼくらがちょっとしたお話の相手になってあげると、心労を少し軽くしてあげられることがあります。チームとしてお手伝いしているので、1~2人がお話相手になっても他のメンバーがカバー可能です。
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- 【作業後】お手伝いについて「振り返り」をやろう。自分の行動、メンバーみんなの行動について、K(Keep:よかったので続けたいこと)、P(Probrem:問題だったので改善したいこと)、T(Try:試してみたいこと)の3つの視点で考えてみよう。
〔解説〕
次回はより効率的に、安全に、少しでも早く依頼主のお困りごとを解消してあげるためには、その回の活動をきちんと振り返っておくことが重要です。
自分の動き、他のメンバーの動き、チーム全体の動きを振り返る。その際に陥ってはいけないのは、「お通夜」(ダメだった点ばかり出てくる)や「裁判」(批判ばかり出てくる)にならないこと。
そのためにKPT法を用いて、よかった点も改善すべき点もきちんと振り返っておきましょう。
